車椅子の花子ちゃん旅立つ
2024 / 01 / 10 ( Wed )
花子ちゃんが入所した日。
動かない後ろ足を引きずり、掠れるような声で泣いていました。
不安な目をして、頼りない仕草でキョロキョロと辺りを見渡しながら。
見たこともない私たちスタッフや施設に困惑していたのでしょう。
私たちは花子ちゃんの不安を取り除く必要がありました。

IMG_1135.jpg


私たちが味方であること、この場所が安全であること。
美味しいごはんがあって、愉快な友達がたくさんいて、
たっぷりと大好きな散歩を楽しめること。
一つずつ丁寧に教えていきました。
しかし、しかし、しかし、介護用ハーネスを使ってのお散歩は前足が辛いんです。
そこで、車椅子をオーダーすることにしました。
この時の花子ちゃんの顔が可愛かった。これ何?の顔。

IMG_2506.jpg


私たちが車椅子の乗り方を根気よく教えるまでもなく、
花子ちゃんはすぐに車椅子を乗りこなし走り回れるように。
車椅子は花子ちゃんの世界を一変させました。
「車椅子の花子ちゃん」の誕生です。

IMG_5838.jpg


自分の意思で散歩を楽しめるようになり、草むらに鼻を突っ込めるようになり、
通りがかりの犬と挨拶するようになり、ご近所のおばあちゃんに可愛がってもらえるようになり。

IMG_3535.jpg

IMG_3544.jpg


車椅子の花子ちゃんの世界はぐんぐんと広がりました。どれほど嬉しかったか。
表情も明るくなって、むやみに鳴くこともなくなりました。
この顔。良い顔。

IMG_0254.jpg

たくさんのお友達ができました。柴犬のハッピーとも大の仲良し。
花子ちゃんの優しい心は誰からも愛される特別な心でした。
私たちも安心して、車椅子の花子ちゃんとの豊かな日々を楽しみました。
春はお花見をして、夏は草が揺れるのを眺めて、秋は落ち葉を踏み鳴らして。

IMG_3725.jpg

IMG_4100.jpg



しかし、豊かな季節は瞬く間に過ぎ去りました。
そしてまた、冬。
歳月は鉛のような重さで花子ちゃんにおおいかぶさりました。
状況は深刻でした。
それまでは深夜帯も老犬ホームで過ごしていましたが、介護レベルが上がり1匹で寝させることが心配に。
そこで、日中は老犬ホームで介護をし、夜間は自宅に連れ帰り介護をするようになりました。
それでもやがて全身の筋肉が落ち、車椅子を使っても歩くことが困難に。
老いは車椅子の花子ちゃんから大切な車椅子を奪いました。

IMG_2738.jpg

ハッピー花子


寝たきりになった花子ちゃんは、少しずつ痩せて行きました。
食べられる量も減って、固形物を受け付けなくなりました。
ドロドロの缶詰も飲み込めなくなって、やがて水しか飲めない状態に。

そして、1月7日の夜中のこと。
花子ちゃんは私の側で穏やかに横たわっていました。
部屋は不思議なほど静かでした。
かすかに聞こえるのは柴犬ハッピーの足音と、
花子ちゃんの息を数える掛け時計の音だけでした。
私は花子ちゃんの痩せ細った体を抱きしめ、「大丈夫、大丈夫」と何度も囁きました。
やがて花子ちゃんは静かに、とても静かに息を引き取りました。
大きな息を三つ吸ったあと、安心したように穏やかに。
柴犬ハッピーが近くに寄ってきて花子ちゃんの匂いをかいでいました。
私はいつまでも2匹の頭を撫でていました。

「車椅子の花子ちゃん」は、また「花子ちゃん」に戻りました。
車椅子なしでも自由に駆け回れる特別な心の普通の花子ちゃんに。

花子ちゃん。
素敵な旅だったよね。
私たちを旅の仲間にしてくれてありがとう。
出会ってくれてありがとう。
行ってらっしゃい。また会おうね。

IMG_7742.jpg

IMG_0220.jpg

IMG_8761.jpg

IMG_8594.jpg

IMG_7706.jpg

IMG_2662.jpg

IMG_9498.jpg



16 : 55 : 47 | 老犬介護 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
<<災害時、老犬どうする? | ホーム | 年末年始の休業日について>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://happyshiawasenikki.jp/tb.php/163-f316585c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |