子猫を拾って5年
2020 / 06 / 22 ( Mon )
※いつもは老犬ホーム・ペットホテル ゆるやか専務のハッピーが書いておりますが、今日はスタッフが書きます。長いので専務には退屈かもしれません。


2015年9月。関東・東北豪雨。常総市の水害は歴史的な悲劇でした。
それから一週間後。まだ汚泥の残る川縁で、4匹の子猫を拾いました。
猫はダンボールの中で毛布もなく震えていました。
目脂で目が塞がっている子もいました。
正直に申し上げて、ミャーミャーと子猫の泣き声が草むらの中から聞こえた時、
わたしは逃げました。ほとんど反射的に、脱兎のごとく。
家に戻って、10分、20分と頭の悪い頭で考えました。
子猫を拾わなくてもいい理由をです。
わたしは猫アレルギーなんだぞ。子猫を保護するにしてもそれなりのお金がかかるんだぞ。
経済的に余裕なんかないじゃないか。
予防注射はどうする?病気かもしれないぞ?医療費は?
そんなことをあれこれ考えていましたが、結局は、車で子猫たちのいた土手に向かいました。
わたしは遂に子猫を拾い、帰りにホームセンターで粉ミルクと、カラフルな髪留めを買って帰りました。
家に着くと早速ミルク。
何日も食べてなかったのか、すごい食欲。みんなが我先にとミルクに群がってくるので、
誰にあげたのか分からなくなります。ここでカラフルな髪留めの登場。
4匹それぞれの首に髪留めを巻きました。色で見分けるためです。
赤ちゃんはもう飲んだでしょ。これこれ、緑ちゃんはクリームちゃんの分まで飲まないの。
ピンクちゃんの分もちゃんとあるよ。ほら。
子猫たちは私の身体をアスレチックみたいによじ登って、噛んだり引っ掻いたりしながら遊んでいました。
目脂で目が潰れていた緑も、綺麗にしたら無事に目が開いて、
赤ちゃんの方が目にばい菌が入ったように赤くなっていましたが、
抗菌目薬をさすと数日で完治しました。
わたしは鼻炎薬のアレグラを飲めば
何とか子猫たちと一緒にいられることが分かりました。
鼻水はマスクの中で爆発していましたが。

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子猫たちの様子に安心したわたしは、こんなに可愛い子達を捨てた人へ怒りを覚えました。
命をぽいっと捨てるなんて信じられない。
その後動物病院に連れて行き、子猫たちの生命が助かったのを確信したわたしは、
子猫たちの里親を探すことにしました。
1番小さなピンクちゃんは知り合いの方が面倒を見てくれることになりました。

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この子が大きな声で鳴いていたので、わたしはこの子猫たちに気付いたのです。
この子がいなければ、きっと分からなかった。他の子はみんな弱っていて、鳴く元気もなかったのです。
NPOの方々にも協力をいただき、2ヶ月ほどで後の3匹の行き先も決まりました。
緑ちゃんは膀胱が病気になり手術しましたが、その子も優しいご家族に迎えられました。
新しい飼い主のみなさんは、猫好きな良い方たちのようでした。
わたしはホッと胸を撫で下ろして、何だかすごく良いことをしたような気持ちになっていました。
子猫たちのいなくなった部屋は寂しかったけど、それ以上にやり切った充足感に満たされていました。
やった!みんな巣立った!

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ピンクちゃんの飼い主さんはとても丁寧でマメで素敵な方でした。
季節ごとに素敵な写真を添えて、ピンクちゃんの幸福な様子を報告してくれるのでした。
お雛様の前でちょこんと座る初節句、初夏の陽だまりに丸くなる写真、
落ち葉に遊ぶ写真、クリスマスケーキにウキウキの写真、、、。
私はそういう写真を見る度に、あー幸せになってくれて良かったなぁ、と自足するのですが、
ある日、突如として悲しい知らせを聞くことになりました。
ピンクちゃんを土手で拾ってから5年後のことです。
ピンクちゃんがガンになったのです。
猫風邪のような症状が長引いていましたが、
精密検査の結果、鼻のガンであることが分かりました。
状態は悪くなる一方で治る可能性はほぼないというお話でした。
それでもピンクちゃんの飼い主さんは可能な限りの治療を施しました。
時間もお金も惜しみなく使って、いくつも病院をまわって、
少しでも長く生きられる可能性はないかと毎日奔走していらっしゃいました。
飼い主さんは、ピンクちゃんを抱きながら毎日泣き暮らしていました。
苦しみ少しずつ痩せ衰えていく我が子。
それもまだ若い我が子を失っていく悲しみは
想像を絶するものです。
私は胸が張り裂けるような気持ちがしました。
それから間も無く、ピンクちゃんは虹の向こうへ行きました。

飼い主さんは、ピンクちゃんのお葬式の様子などをおさめた写真を見せてくれました。
その中に、亡くなった時の写真もありました。
ついこの間まであんなに小さかったピンクちゃんが、わたしの掌の中をくるくる遊んでいたピンクちゃんが、
泥土の道に汚れながら力いっぱい鳴いていたピンクちゃんが、たくさんの花に囲まれて綺麗に眠っていました。

これだけは確信を持って言えます。
ピンクちゃんが幸せな一生を過ごしたことは間違いありません。
ピンクちゃんの写真はいつも笑っているようでしたし、
ご家族の愛情の深さたるや大海の如しでした。
ピンクちゃん本当にありがとう。
兄弟たちもきっと元気にやってます。
心配しないで、ゆっくり休んでね。
ありがとう。

長々と書いてしまいました。
最後に、わたしは猫を捨てた方に言いたい。

あなたは必ず幸せになってください。
猫を捨てるなどという恐ろしい考えが
もう二度と浮かばぬように。



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